参加者:岡崎・川野・小山・塚田・森山
まず結論から。あくまで5月終了時点ではありますが、本年度の第一位であります。蕎麦前、蕎麦、オペレーション、どれをとっても絶品です。いやあ、蒲田恐るべし。
蕎麦前の酒肴は、いずれも完成度の高い逸品ぞろい。ひと工夫してあったり、素材の産地を選んだり、そうした「こだわり」に店主の思い入れが感じられる。一片づつを並べてみたが、「じゃこ天」「板わさ」「燻り豆腐」。「燻り豆腐」は水分だけが程良く抜けて上品な旨味が凝縮されて、まさにスモークドチーズのような食感になっている。
「鴨焼き」は、付け合わせの焼きネギと一緒に塩で食す。「鴨ネギ」とは良く言ったものだ、と必ず誰かが言い出す。「まさにワインとチーズのマリアージュの様だね」などと気取って言っている輩に言ってやりたい。日本伝統の例えがあるのだと。
この「塩辛」は濃厚な「わた和え」である。大殿によれば、塩辛が水っぽくなるのはイカから水分が出るためだそうで、そこにひと工夫しているのではないか、と。日本酒が止まらない。
「そばがきの揚げ出汁」とあって、厚揚げをイメージしていたが、食しやすいこのサイズ。噛み締めると蕎麦の香りが立ち上り快感。いや、それにしてもこの汁が美味!この時点で、この店は「ただものではない」と予感。
「山葵の葉のおひたし」は、少し気の利いた蕎麦屋の定番メニューであるが、これほど辛いものを食したことはない。しかも、さわやかな辛さの中に、出汁の旨味が後を追いかけてくる。辛さを出すために細工を施しているのか、と尋ねたが、特段なことは行っていないとのこと、素材の産地(山口県)のメモをいただいた。
さて、蕎麦である。写真は「鴨つけ蕎麦」。蕎麦は細いがコシも香りもしっかりしていて、水切りの程度もすばらしく、味わい深い。さらに、汁。限りなく「旨い」のである。そのままゴクゴクと飲めてしまいそうなくらいに上品で透明感のある軽さ。どこまでも蕎麦を引き立てながら、決して負けてしまうことのないこの汁は、上質な出汁が基盤を固めているのだと思う。
卓上の品書きの巻頭ページ。店主の真摯な姿勢と思いやりは、そのまま店の雰囲気として具現化されている。久々に清々しい店に出会った。
IT系のベンチャー企業に転職してから無沙汰続きのたいろー君が突如登場。元気そうで何より。